NECのN8103-150およびN8103-130は、ともにLSI LogicのMegaRAIDのOEM製品となります。
N8103-150はMegaRAID SAS 9267-8i、N8103-130はMegaRAID SAS 9264-8iというモデル名です。
LSI Logicの製品としては上記のものはありませんので、OEM用の型番だと思われます。
N8103-150はLSISAS2208 Dual-Core ROCを搭載しており、N8103-130のLSISAS2108 ROCと比べると一世代進化しています。
また、キャッシュメモリもDDR2-800MHzからDDR3-1333MHzに高速化されています。
そのほかの違いとしては、SATA3に対応している点が挙げられます。
N8103-130もファームウェアを強制的に書き換えればSATA3に対応可能ですが、少し手間がかかることもあり、出来ればネイティブで対応しているほうが便利です。
N8103-149/150も登場してから3年が経過しましたので、リースアップに伴う放出品がちらほらと中古市場に出回りつつあります。
今回は、RAID5/6が使用可能なN8103-150を購入してみましたので、N8103-130と比べてどれくらいの差があるのか、確認してみようと思います。
N8103-150 RAIDカード。
BBUをカード上ではなく、ケーブル接続する方法に変わった為、BBU搭載用のスペースがなくなり基板の長さが短くなりました。
N8103-149はRAID0/1専用となり、RAID5/6が使用出来ません。
N8103-150ではRAID5/6を使用可能にするための小さいチップサイズの基板が搭載されています。
購入時は、この基板があるかどうか確認してください。
サーバーはエアフローが考慮された作りになっているのでファンレスでもOKですが、PCで使う場合にはファンの増設が必須です。
今回は4cmファンを自作クリップで乗っけてみました。
N8103-130 vs N8103-150
早速、ベンチマークを測定してみることにします。
使用するHDDは、Seagateの3.5インチSAS HDD、ST3600057SSです。
Cheetah 15K.7に属する3.5インチのHDDで、15,000rpmという回転数を誇ります。
このHDDを5台使用し、RAID5の環境でCrystal Diskmarkを測定してみました。
■HDDアクセス
N8103-150のキャッシュサイズが512MBですので、キャッシュに収まらない1000MBでベンチマークを測定しました。
シーケンシャルリードは、N8103-130の630MB/sに比べて大幅にスコアが上昇、771MB/sを叩き出しました。
シーケンシャルライトが少し落ちていますが、まあ、これくらいなら問題なし。
ランダム性能も地味に数字が上がっており、512Kでは100MB/sの大台を突破しました。
一世代前のSSD並に快適な値です。
ランダム4KはHDDなだけあって値が振るいませんが、15KのSAS HDDですのでSATAのHDDとは次元の異なる値を叩き出しています。
■キャッシュアクセス
続いて、キャッシュメモリの性能を比較してみます。
キャッシュメモリの速度ですが、N8103-150はもう一息でシーケンシャルリードが2000MB/sを越えそうな値を叩き出しています。
シーケンシャルライトは2000MB/sを越えており、ランダム512Kについても1800オーバーとすこぶる優秀な値となっています。
ランダム4Kも素晴らしい値ですね。
これに対し、N8103-130はN8103-150と比べると7割程度の速度となっています。
しかも、BBUを搭載しており、WriteBackモードで動作しているにも関わらず、WriteはすべてWriteThroughと思われる速度となっています。
これだけ差が出るのであれば、N8103-130からN8103-150への乗り換えは効果的かと思います。
N8103-150はあまり中古では見かけませんが、オークションでもたまに出てきますので、アラートを登録しておくといいかもしれません。
あと、WriteBackで使う時には、BBUの用意を忘れずに。
N8103-150は専用BBUであるN8103-153が必要となります。