“不沈艦の名は、伊達じゃないのです!”
重雷装艦 大井に続いての建造は、陽炎型駆逐艦8番艦、雪風となりました。
幾度もの激戦をくぐり抜け、最後まで生き残った不沈艦として有名ですね。
艦これではかなりのレア艦ですが、驚異的な運を誇り敵の弾幕を避けまくっています。
雪風は有名な艦ということもあり、アオシマ、フジミ、ピットロードからそれぞれキットが発売されています。
ディティールの細かさでいうと、フジミ>ピットロード>アオシマといった感じでしょうか。
最初、アオシマのリニューアルキットを買ってみましたが、思ったよりも大味な感じだったのでフジミのキットを買い直してこちらを作ることにしました。
今回は純正エッチングパーツではなく、ライオンロア社の陽炎型エッチングパーツ フルコンプリートセットを使用して、ディティールアップの限界に挑戦することにしてみました。
このエッチングパーツセットはエッチングプレート4枚に真鍮砲身6本が付属する、どえらい細かなものとなっています。
もともとライオンロア社のエッチングパーツはかなり薄いステンレスを使用していますが、今回使ったものは電探など、これって本当に組み立てられるのか…?といったレベルのパーツがてんこ盛りで、ある意味モデラーへの挑戦状といった気がしますw
駆逐艦 雪風 性能諸元
・排水量 基準:2,033トン
・全長 118.5メートル(1/700スケールで17cm)
・全幅 10.8メートル(1/700スケールで1.5cm)
・吃水 3.8メートル
・機関 艦本式衝動タービン2基2軸 ロ号艦本式缶3基 52,000馬力
・最大速力 35.5ノット
・航続距離 18ノット/5,000海里
・兵員 239人
兵装一覧
・50口径三年式12.7cm連装砲:2基
・九六式25mm3連装機銃:5基
・九六式25mm単装機銃:14基
・九二式61cm四連装魚雷発射管:2基
・九四式爆雷投射機:1基
・爆雷投下軌条:2基
完成した雪風。
全パーツを装着後、つや消しクリアーを吹いて全体の光沢を整えました。
ウェザリングや墨入れで使うエナメル塗料が、つや消しではあるんですが微妙に光沢があり、3/4光沢の軍艦色とはかなり異なる光沢に仕上がります。
そこで、最後にアクリルのつや消しクリアーを薄く吹いて光沢を整えることで、違和感が少なくなるようにしています。
主砲、魚雷発射管などのジャッキステーや窓枠、マスト、ブリッジの窓枠などはすべてエッチングパーツです。
窓を塞ぐ板もエッチングパーツを1枚ずつ接着しています。
舷外電路もエッチングパーツが付属しましたが、キットのモールドが割と良い出来だったので、こちらはモールドを使っています。
ただし、断面が“)”状になってしまっているため、エッジ部分をクラフトナイフで削り、“]”状に加工しています。
九六式25mm3連装機銃および九六式25mm単装機銃はファインモールドのナノトレッドを使用しています。
これ、プラパーツとは思えないくらい細かく出来ており、エッチングパーツを使って作り込むには最適ですね。
ただ、価格が高いので大型の艦船で使うにはかなり勇気が必要です…
艦橋周辺のアップ写真。
マスト下部はエッチングパーツがあまりにも薄く張り線するのは不可能だったためエッチングパーツの折り目から各パーツを切断、0.3mmの真鍮線を支柱にして切り離したパーツを貼り付けて作成しています。
マスト上部は0.3mmの真鍮線で自作しました。
支柱とはハンダ付けで処理していますが、ハンダの量を限界まで減らしてしまったため強度に不安を抱えることに…
マストへの張り線は0.15号の鮎釣り用のラインを使用していますが、先に6本をまとめて瞬間接着剤で固定したあと、船体に貼り付けます。
その後、マストに2本単位で接着していけば割と綺麗に貼ることができます。
後部マスト付近。
改装後は50口径三年式12.7cm連装砲の2番砲が撤去され、かわりに対空機銃が増設されています。
後部構造物のドアは足柄であまったエッチングパーツを使用して、開いている状態を再現してみました。
ついでにジャッキステーもつけてみましたが、他の艤装パーツを付けたあとからの作業だったので、かなり大変でした…
このサイズだと見にくいですが、船体には手すりも付けてあります。
フジミの純正エッチングパーツと比べるとライオンロアの手すりはどえらく薄っぺらい、ふにゃふにゃな手すりですが、きわめて細いこともあり、取り付けてみても違和感がありません。
ダメコン用の木材は0.2mmのプラペーパーを角材状に切断、複数本まとめて金属ワイヤーで縛って載せています。
0.3mmだと思ったより分厚かったので、0.2mmくらいがちょうどよさげです(0.2mmだと14cm角) 。
こちらは煙突付近。
カッターにはエッチングパーツのオールをセット。
ボートダビットはエッチングパーツを使用していますが、ちょっと薄すぎかな…?
ボート固定用のバンドは、マスキングテープを使用して再現しています。
マスキングテープの表面は剥離用のコーティングがされており、塗料を弾いてしまうためエッチングパーツ用プライマーを塗り、その上からエナメルのつや消しホワイトを塗って仕上げています。
艦尾方向から。
写真ではぼけてしまっていますが、艦尾の出っ張り部分と爆雷投下軌条もエッチングパーツとなります。
艦首、艦尾のポールは0.2mmのピアノ線です。
真鍮線は柔らかいので0.2mmクラスになると、個人的にはなかなか折れ曲がらないピアノ線が使い勝手が便利です。
ウェザリング塗装は作る方によっていろいろ表現が異なるところですが、私はなんとなくこんな感じなんじゃね?というノリで塗ってしまってます。
舷側のすぐ上に構造物があると、たぶんそこから汚れが下にたれるハズ…とか、舷外電路の折れ曲がっているところは汚れが溜まりそうだ…といった感じでまずは見当を付けます。
塗装はタミヤのエナメル塗料を用います。
サビ用にレッドブラウン、汚れ用にシーブルーとブラックを中心に濃いめで汚れを入れてから、エナメル溶液を筆につけて、エッヂ部分を擦るような感じでグラデーションに仕上げていきます。
上部より。
リノリウム押さえは電子工作用のケーブルの被膜を剥き、中の芯線をほぐしたものをまっすぐに伸ばして使っています。
巡洋艦以上は真鍮製だったそうですが、駆逐艦はブリキということらしいので銀色のケーブルを使用しました。
リノリウム部分は単調になりがちなので、良いアクセントになったと思います。
今までに作ったウォーターラインシリーズの艦と並べてみました。
制作順序としては、足柄→子日→大井→雪風という順序ですが、今から足柄を見るとだいぶ改善の余地あり、といった感じですね。
最後に、今回手を入れた箇所をずらーっとご紹介。
・艦首・艦尾ポールを0.2mmピアノ線で自作
・アンカーチェーンは極細の模型用鎖を使って置き換え
・錨、窓蓋、ジャッキステー、艦橋の窓枠などはライオンロアのLE700105を使用
ただし、舷外電路等の一部パーツはプラスチックのモールドをそのまま使用
・リノリウム抑えの表現
・25mm機銃にファインモールド ナノトレッドを使用
・手すりにキャンバス地の表現
・0.2mmプラペーパーを使ったダメコン木材の再現
・水密ドアが開いた状態の表現
・救命具の製作・実装
・張り線
・マスト自作など
さーて、次は簡単に作れる伊号潜水艦を作ってから、扶桑にチャレンジですよ~!
おまけ
Arqspinなるサービスを使って、ぐるぐる回して見られるようにしてみました。
塗装ブースの回転台に乗せて撮影しているので、ビミョーにガタガタしてますね…orz