“主砲の火力だけは自慢なの。
……へ?防御力と速力?そんなの……欲しいけど……。”
「不幸型戦艦」とも言われる、扶桑型戦艦の姉のほう、扶桑。
艦これではドロップしやすいように、レア設定が低くなっていることもあり、最初に入手した戦艦が彼女、という方も多いと思います。
ウォーターラインのキットとしては、フジミからは昭和10年、16年、19年の3つのバリエーションモデルがリリースされています。
今回製作したのは、昭和16年、1941年の最終改装の一つ前の状態となっています。
レイテ沖に突入し凄惨な最期を遂げた際は、至る所に機関銃が増設されていましたが、1941年ではわずかに25mm連装機銃×4基となっており、外見としてはこちらの方がスッキリしています。
今回作成した扶桑は、キットが新しく、しかも細かさには定評のあるフジミ製ということで、かなりモールドも細かく精密な出来でした。
扶桑の艦橋の立体感を出す為、細かい箇所もスミ入れおよびウォッシングによる陰影の表現をおこなってみました。
グレー1色での着色だけの状態とは異なり、かなりリアリティが出たのではないかな、と思います。
使用したアフターパーツは、
・フジミ製 純正エッチングパーツセット
・フジミ製 純正木甲板シート
・ライオンロア 35.6cm真鍮製砲身セット
・ファインモールド ナノトレッド 大型艦ボートダビット、菊花紋章
・ライオンロア 艦名プレート
となります。
また、このほかに
・0.5mm、0.3mm真鍮線(マストおよびクレーンのポール)
・0.2mmピアノ線(艦首、艦尾ポール)
・0.05号メタルライン(張り線)
・極細チェーン(アンカーチェーン)
を使用しています。
フジミ純正のエッチングパーツは、もう少し真鍮板が薄くてもいいのでは…?と思うときもありますが、逆に分厚い分加工も楽なのはメリットですね。
特に、副砲が並んでいる関係で舷側のラインがかなり凸凹していますが、純正のエッチングパーツの手すりは折り曲げるところが薄くなっていて、綺麗に折り曲げることができます。
柱もちゃんと折り曲げるところに位置するようになっていて、このあたりは純正のエッチングパーツでないとなかなか再現が難しいですね。
前方から見た扶桑。
違法建築とも称される、高さ50mにも及ぶ艦橋がなんともステキです。
元々はここまでえらいことにはなっていなかったのですが、改装されるに従い、どんどん上に積み重ねられてしまった結果、ジェンガ状態になってしまいました。
※低いところからでは遠方の敵は水平線の下になり見えないため、主砲で射撃を行うには高いところに測距儀を設置する必要がある
一次近代化改装した際に艦橋の後部にある3番砲塔の向きを前に変更したため、主砲がブリッジに干渉しないよう、土台部分をえぐられた形となりました。
なんとも味がある、独特のフォルムです。
姉妹艦の山城は3番砲塔が後ろを向いているためこのような不安定な形状にはなっておらず、見分けるポイントとなります。
艦首部分。
アンカーチェーンはいつもながら極細チェーンを使っています。
ウェザリングはいつもながらのお手軽ウォッシングです。
艦首のポールは、0.2mmのピアノ線を使い、ピンバイスで穴を開けて埋め込んで固定しています。
真鍮線では柔らかすぎ、簡単に曲がってしまうため、ピアノ線のほうが強度があり折れにくいのでお勧めです。
マストについても同様で、真鍮線は0.3mmくらいが限度かな、と思います。
私はマストを自作する際、0.2mmの線を使う箇所はピアノ線をハンダ付けして使っています。
少し下から見上げたアングル。
おそらく、他の艦から見るとこんな感じだったと思われます。
高くそびえる艦橋が存在感ありまくりですね。
張り線は0.05号のあゆゲッターメタルラインで、直径0.03mmです。
メタルラインだと、このように重力でたわんだ状態を再現できるのがいいですね。
ただし、激細なので表面積が少ないため接着剤があまり付かず、強度も頼りなく作業には相当気を遣います。
煙突は純正のエッチングパーツを使っていますので、かなり精巧にできています。
しかも、純正だけあって取り付けも簡単なのがメリット。
主砲を6基も積んでしまったため、甲板上に置いてあるボート類は主砲が旋回する際に邪魔にならないよう、微妙な位置に固定されています。
探照灯はクリアーパーツだったので、裏面をシルバーで塗装してから、グレーで塗装し、内部が反射するようにしました。
ただ、つや消しを吹いたらあまり光が目立たなくなってしまった気がします。
後部艦橋付近にある高角砲ですが、主砲を避けるためかかなり高い位置にあります。
後部艦橋の付け根の、下の方に写っている白いイモムシみたいなのはボートの幌です。
本当は骨組み状態にしたかったのですが、スクラッチするととてつもなく面倒そうなので、キット付属パーツを使ってしまいました。
他の艦船では、旭日旗を付けるとすぐに切れて無くなってしまうので旭日旗は付けないのですが、今回は旭日旗を掲揚してみました。
やはり日本帝国海軍艦船は旭日旗が似合います。
第5砲塔左右にあるボートダビットは、ファインモールド製のナノトレッドに交換しています。
ナノトレッド、一度使ってしまうと戻れません…
特に、ボートダビットはエッチングパーツだと薄すぎるので、ナノトレッドがとても良い感じです。
扶桑独特の、艦橋の根元がえぐれた部分が良いくびれになっているのが目立ちますね。
ちょっと古めかしい感じのする、舷側にずらっと並んだ副砲が特徴的です。
後部の水上機搭載場所は、エッチングパーツを使ってリノリウム貼りを再現しています。
リノリウム押さえの処理が、エッチングパーツを塗装したあと押さえの金具部分の塗料を削るだけでいいので、とても楽なのでいいですね。
キットに付属する95式水偵を2機搭載してみました。
後部をアップで。
95式水偵のプロペラはエッチングパーツを使用しました。
複葉機の翼を繋げるパーツは、取り付けるか迷ったのですが、主翼にパーツを取り付けるための大きな凹みがあったこともあり、エッチングパーツのあまりの部分を使って取り付けることにしました。
艦尾にある「うさふ」の文字ですが、ライオンロアのエッチングパーツを貼り付けています。
このパーツ、綺麗に取り付けるにはちょっとしたコツが必要です。
手すりの後ろの方にあるのは、救命具の投下装置だと思われます。
左右の舷側にある、アーチ状のものは折りたたんだボートダビットです。
甲板は木甲板シートを使っているので、とてもリアルです。
リアルな表現には欠かせませんね。
しかも、レーザーカットされているので、裏のフィルムを剥がして貼り付けるだけという、お手軽なのもとても良いところ。
ただし、厚みが0.5mm程度ありますので、違和感がないように甲板を削って下げておく必要があります。
艦橋ですが、かなりの高さ(50m程度?)があったんじゃないかなぁ…一番上とか、かなり怖そうです。
艦橋にある航行灯?は、台座部分にはキットパーツを使用し、上はクリアパーツのランナーを伸ばしてくっつけてみました。
結構良い感じだと思います。
艦橋と後部マストを繋ぐ張り線は、4本を平行に張る必要があるのですが、これがけっこう大変でした。
ナイロンラインのように、テンションをかけてピンと張るのであれば簡単ですが、自然にたわむようにすると、少しでも向きが違ったり、よれたりすると悲惨なことになります。
4本の線のたるみ方、間隔を均一にして貼り付けるため、複数回やり直しています。
横から見たときに、キチッと4本揃ってないと、見た目かなりバランスが悪いんですよね…
後部マストの上部ですが、図面をもとに張り線を行ってみました。
写真に映っているだけで、後部マストのみで24本、艦橋や艦尾のポールと繋がる線もすべて合計すると38本を接着しています。
エッチングパーツのクレーンのワイヤーがとても太く見えます。
正面から撮影してみました。
幅が広い船体に主砲がどーんと構えている構図は、迫力ありますね…
左舷前方から撮影。
戦時中はこまめに掃除や塗装する暇もなかったと思うので、かなりウェザリングをきつめにいれてみました。
ウォッシングしてウェザリングを表現していますが、コツは少し強めにいれておくこと。
最後につや消しクリアーを吹くと、つや消しの粒子と光の反射の関係で、色が少し薄くなって見えます。
また、ウォッシングをしていると溶けた塗料が筆に吸収されますので、この塗料を使うと微妙なグラデーションを表現することが可能です。
イメージとしては、最初に強めに入れた汚しの塗料を、溶剤を使って船体全面に薄くのばしていく感じです。
手軽に全体的に汚しを入れることができるので、お勧めです。
ほぼ真後ろに近い位置より。
あとから付けた水上機用クレーンの膨らみがかなり目立ちます。。
このクレーン、主砲を撃つときに邪魔になりますから、航海中は倒して格納していました。
最近作った、阿賀野と雪風を従えてみました。
やはり戦艦だけあって、存在感抜群です。
ちなみに、国産初の超弩級戦艦ということもあって、主砲を欲張りすぎた結果、いろいろ問題ありまくりな艦となってしまいました。
登場したころはよかったのですが、すぐに速度が遅いことも相まって使いづらい艦となり、停泊しているほうが圧倒的に多い、という悲しい結果に。
高速性を生かして機動部隊の護衛が可能だった金剛姉妹とくらべると、とても対照的。
主砲の配置の関係で改装しにくかった缶ですが、1935年にやっとてこ入れされ、40,000馬力から75,000馬力にパワーアップ、速度も24ノット超を出せるようになりました。
ちなみに、約40,000トンの扶桑に比べ3,000トンと1/13ほどの排水量の駆逐艦島風ですが、なんと出力は75,000馬力と扶桑と同じだったりします。
いかに島風のスペックが凄まじいか解りますね…
最後に、我が家のウォーターラインシリーズを一同に並べてみました。
左から、伊168、浦風、阿賀野、足柄、扶桑、まるゆ、大井、雪風、陽炎、子日となります。
まるゆ、一瞬縮尺が違うんじゃないか?!と思うくらい、ちっちゃいですね。
さいごに、扶桑の艦橋付近をもう1枚。
甲板が明るいので、ひときわ存在感があります。
実際にはもっとくすんだ色になっていたと思いますが、模型ですし、これくらい明るくてメリハリあってもいいかな、と思います。
以上、扶桑の紹介でした。