ウォーターラインシリーズの艦船模型で、完成後のリアリティをぐぐっと増すためにオススメなのが、船体のウェザリング塗装。
ウェザリング塗装というと難しそうなイメージがありますが、割と簡単に再現可能です。
私がいつも使っている、お気軽にウェザリングを入れるコツを紹介したいと思います。
■準備するもの
船体のウェザリングには、塗料を溶剤で落としながら塗装するウォッシングと呼ばれる技法が便利です。
大まかに汚れの塗装を行い、あとから溶剤で溶かしていき、微妙なグラデーションなどを再現していく方法です。
ウォッシングを行う際に重要なのは、下地の塗装を侵さないことです。
下に着色した部分を溶かしてしまうと大変なことになってしまいますからね…
そこでオススメなのが、船体などは溶剤系塗料(油性)であるクレオスのMr.カラーで着色し、ウェザリングはタミヤのエナメルカラーで入れる、という方法。
船体の着色に水性のアクリルカラーを使ってもいいのですが、エナメル溶剤が若干ながらアクリル塗装を侵す可能性があることと、船体の着色の際には溶剤系塗料のほうが圧倒的に使い勝手がいいので、この方法をお勧めします。
ウェザリングを行う際、私は以下の塗料をメインに使用しています。
ダークグレイ、フラットブラックで黒ずんだ汚れを、レッドブラウンは錆などの表現に使用します。
また、塗料を薄めて使う必要がありますので、エナメル塗料の溶剤も必要です。
使用する筆ですが、タミヤの面相筆No.000、あるいはハセガワの熊野筆 KF5がお勧めです。
太いと微妙な表現が出来ませんので、細めの筆を選びましょう。
また、安価な筆は筆先が固く、繊細な表現に向きませんので、700~1000円程度の筆を選ぶと良いかと思います。
■塗料の準備
塗料皿に、エナメル塗料と溶剤を入れます。
塗料皿は100円ショップで売られている醤油皿などの焼き物が、重量もあってずれにくいのでお勧めです。
金属製の塗料皿は軽いのでずれやすく、あまり使っていません。
塗料皿を置くときは、奥側に板や楊枝、ランナーなどを挟んで手前に傾斜するようにします。
角度をつけることで、塗料皿の手前に溶剤を入れ、奥に塗料を置くことで簡単に混ぜ合わせたり濃度を変更することができます。
…机の上めっちゃ汚いですね(汗
■汚しを入れる
船体に、3色をうまく使いつつ、汚しの基本部分を入れていきます。
写真を見ると結構いい加減なように見えますが、ご覧の通り、結構適当ですw
あとからグラデーション部分を溶かしてつくっていきますので、最初は濃いめに汚しをガンガン入れてしまいましょう。
やり過ぎたと思ったところは、あとで拭き取れば修正可能です。
注意すべき点は、汚れがたまりそうな部分を想像しながら汚しを入れる、という点でしょうか。
たとえば排水管の下や、ボートダビット、対空機銃のスポンソンなどの構造物が甲板の舷側付近にせり出している部分、舷外電路の角などです。
また、舷外電路の下や艦橋の影になる部分、凹んだ角など、影になりそうな部分には薄くのばしたブラックで着色することで、立体感を強調できます。
エナメル塗料は下地を侵しませんので、何度でもやり直しが可能です。
トライアンドエラーで、思うように汚しが入れられるまで、何度も繰り返してみると良いかと思います。
■ウォッシングする
汚しの基本部分を入れ終わったら、エナメル溶剤を使って塗装を溶かして、グラデーションに仕上げていきます。
筆にエナメル溶剤のみを付け、塗装した汚れの縁の部分を少しずつ溶かしていき、グラデーションになるように仕上げます。
この際、一気に仕上げてしまおうとすると失敗しますので、湿った程度に溶剤を筆の先に付け、少しずつ筆先でなぞるようにして根気よく作業していきます。
濃いめの汚しを入れたい場合は、面倒でも着色→ウォッシングしてグラデーション状に馴染ませる→さらに汚しを着色→ウォッシング、というように複数回繰り返すと、綺麗に汚しを入れられます。
一気に行うと、濃淡が急に変わってしまうので綺麗に広がって汚れが付きません。
仕上げにつやを整えるためにつや消しクリアーを吹く場合には、つや消し塗料の関係でウェザリング塗装が多少薄くなってしまいますので、ちょっと濃いめに入れておくと良いかと思います。
■ウォッシング動画
このブログでも1,2位を争う人気?コンテンツということもあり、簡単ですがウェザリング方法の動画を作ってみました。
宜しければみてやってくださいまし~
実験台になったのは、先日作った利根でございます。
■作例
この方法でウェザリングを入れた艦を何隻かご紹介。
詳細は各艦のページにてご覧下さい。
タミヤの島風。
ちょっとぼかした感じで、全体的に汚しを入れてみました。
アクリル塗料で汚しを入れたあと、一度船体全体をアクリル塗料で湿らせ、そのうえで作業するとにじんだような感じが出しやすいです。
→島風
フジミの扶桑(1941年)。
精巧にできた、秀逸なキットです。
独特の艦橋の重厚感を出すため、艦橋や主砲などの建造物にもウェザリングを入れて凹凸感を強調しています。
艦橋の支柱や側面の凹んだ部分などに、ブラックを薄く入れて凹凸感を強調しています。
船体のウェザリングは錆を中心に入れてみました。
→扶桑
フジミの雪風をライオンロアのエッチングパーツセットでフルカスタマイズしたもの。
船体に錆を中心とした汚しを入れてみましたが、だいぶ印象が変わって良い感じです。
→雪風
伊168潜水艦。
こちらは最後につや消し処理を行わず、エナメル塗装時の光沢をそのままにして少しウェットな感じを出してみました。
→伊168
■甲板部分はドライ塗装が便利
リノリウムなどの甲板部分ですが、中央部分の色をすこし明るくすると立体感が出ます。
このような表現をするときに便利なのが、タミヤのウェザリングマスター。
化粧のファンデーションのような塗料で、スポンジブラシの先に付けた塗料をこすりつけて使います。
甲板色を使うと、リノリウム張りのすれたような感じが表現できます。
ただし、もともと木甲板用のウェザリング塗料なので、リノリウムに使うにはちょっと明るすぎるので付けすぎには注意です。
赤さびもセットに入っていますが、こちらはあまり使いません。
グレーは、艦橋や砲塔の角に少し入れると、立体感が増すのであると便利です。
これらの塗料を使う場合は、ウォッシングでウェザリングを入れたあと、最後に仕上げとして使うようにしてください。
でないと、せっかくドライ塗装した部分までウォッシングで溶かしてしまいます。