KEN-RAD製の2A3を入手!

大人気の出力管といえば300Bだと思いますが、より繊細な音を奏でる2A3も良い球だと思います。
300Bのような力強さには欠けますが、響くような優しい音色はやはり独特の魅力です。

KEN-RAD 2A3
私が使っているSV-2A3EPXは6SN7→6V6→2A3プッシュプルという構成なのですが、購入時は全てロシア製の真空管がセットされていました。
比較的安価に手に入る初段まわりから球を入れ替えてきましたが、KEN-RADの2A3が4本入手できる機会があったので思わず飛びついてしまいました。

これで、初期状態からは以下の構成となっています。
Electro Harmonix 6SN7 → RCA 6SN7
Electro Harmonix 6V6 → Marconi 6V6
SOVTEK 2A3 → KEN-RAD 2A3
SOVTEK 5U4G → Mullard CV378
ロシア管はいずれも現在でも製造していますので、新品での入手は容易です。
交換後のヴィンテージ管は全て生産を終了しているもので、1940~50年代に作られたものが主になっています。

SV-2A3EPX

手前が購入時に付属した真空管、セットされているのが現在の組み合わせ。
音の傾向が全く異なるアンプに手軽に変更できるのも、真空管アンプならではの楽しみ方。

2A3といえば至高はRCAのシングルプレートだと思いますがぶっ飛ぶくらい高い(1本6~8万とかざら)ので購入出来ませぬ。
RCAの2A3はごく少数が出回った初期のシングルプレート、H型の2枚プレートの2種類がありますが、後者であれば1本1~2万円台と、比較的購入しやすい価格で出回っています。
ただ、デュアルプレートでも初期型はスプリングでフィラメントを吊った構造になっていますが、後期型はマイカで直接フィラメントを支えるシンプルな構造になってしまっており、見た目もイマイチ微妙です。

KEN-RAD 2A3

今回購入したKEN-RADの2A3ですが、人気では定番RCAの2A3には劣るようで、比較的安価に購入できました。
KEN-RADの2A3の特徴はなんと言ってもカーボンスートされた外観でしょう。
中身が見えない!ということで不人気なカーボンスートですが、個人的には独特の存在感があって好きです。(しかも安い)
特にKEN-RADの2A3は下部はゲッターのシルバーコーティング、上部はカーボンスートで真っ黒とものすごい存在感を放っていて、アンプに載せても目立って良い感じ。

KEN-RADの2A3を気に入っている理由はもう一つあり、RCAなどの後期型2A3と比べて、頑強かつ丁寧な作りになっているという点。
トップマイカはマイカサポートでしっかりと管壁に固定され、十字型に配置された太いアームで保持されています。
フィラメントは釣り竿状のスプリングで吊られている構造になっており、後期型のRCA製2A3と比べると遙かに手間が掛かっています。

KEN-RAD 2A3

トップマイカにはサポーターが取り付けられており、管壁にしっかりと固定されています。
マイカは8本の支柱でしっかりと支えられており、フィラメントは竿状のスプリングで吊られています。

SOVTEKの2A3から交換して鳴らしてみた印象は、派手さはなくなりますがヴォーカルとピアノの響きがまったくの別物になり、よりリラックスして聴けるサウンドになりました。
女性ヴォーカルで言うと、少し乾燥気味で響いていたサ行が水で潤したようになめらかになったというか、そんな感じ。
油断すると、聴いていて寝ますね、これ…

まずはしっかりとセッティングすれば定位がきちんと出て、あたかも目の前で歌っているが如くの臨場感を得られますが、真空管アンプって管を買えることで音の表情が変わるので余計楽しさが増します。
気に入っている歌手の歌声を、より濃厚に、あるいは響くように透明に、といった感じで好みの雰囲気というか方向に持って行けるというか。
しかも、50年、60年といった昔に作られたヴィンテージ管から、目の前で歌い上げるようなとても生々しいサウンドを奏でる訳で、ある意味沼にはまるのも解ります。
管それぞれに個性があるんですよね。

KEN-RAD 2A3

世の中、WEの300Bなどのようにウン十万もする真空管もありますが、流石にそこまでは手が出ません。
といっても、数千円~数万円でもヴィンテージ管はまだ多数入手可能ですし、限られた予算で色々買ってみて試せるのも、真空管アンプの良さだと思います。
しかも、製造を終了している製品なので、将来的に入手が絶望的になるのは目に見えてますから、今後は価格も上がっていく一方だと思います。
なので、楽しめる今のうちに楽しんでおきましょう。

メーカーのKEN-RADですが、アメリカの真空管メーカーで1926年頃から独自の製品をリリースし始め、1930年代の真空管メーカー同士の熾烈な存在競争を生き残った、アメリカを代表する真空管メーカーの一つだそうです。
戦後、需要の激減を受けて真空管メーカーも統合が進み、KEN-RADもGE傘下で生き残りを図ることとなります。GE傘下になった後は徐々にGEブランドの生産にシフトしていき、1950年頃には独自ブランドのKEN-RADの看板を下ろし、30年近く続いたブランドに幕が下りました。

しかし…そろそろ真空管も50本を突破しそうな勢いなので、控えないとなのですよね…。

MSI H170 Gaming M3レビュー:コストパフォーマンスに優れたゲーミングマザー

MSIのMY MSI PC自作ワークショップに当選し、MSI H170 Gaming M3のレビューの機会を頂いたので、使用した印象についてまとめてみた。
ゲーミングといえばZ170…というイメージが強いが、H170搭載“にも関わらず”ゲーミングを名乗る製品の魅力とは、一体どこにあるのだろうか?

■MSIのマザーボードラインナップの確認

MSIは多数のマザーボードをラインナップしているが、大きく分けて「Enthusiast Gaming」「Performance Gaming」「Arsenal Gaming」の3シリーズに分類される。

「Enthusiast Gaming」シリーズはエンスージアストの名の通りゲーミングに特化したハイエンドモデルで、AudioBoost3とNahimic Enhancerによるリアルなサウンド体験、Steel Armor対応PCI-Eスロットによる重量級ビデオカードサポート、Twin Turbo M.2による最大64Gbpsの高速データ転送、Killer E2400 NICの搭載など、ゲーミングに向けた最適化がされているシリーズとなる。
今回レビューさせて頂くH170 Gaming M3は、このEntsusiast Gamingシリーズに属する、エントリーモデルだ。
Z170ではなくH170というゲーミング向きではなさそうなチップセットを採用した珍しい製品だが、実際使った感想はしっかりとツボを押さえた作りの、れっきとしたゲーミングマザーであった。

「Performance Gaming」シリーズはMystic Lightを搭載しLEDによる光の演出が加わったモデルで、どちらかというと見た目重視なラグジュアリーなモデルが多い。
Gamingの名を冠しているだけあって、Audio Boost3を搭載し、Turbo M.2による32Gbpsの高速データ転送、Steel Armor対応PCI-Eスロットによる重量級ビデオカードサポートなどの基本的な要素はしっかりと抑えている。
ただし、Enthusiast Gamingと比べるとNahimicに非対応であったり、M.2も64Gbps→32Gbpsになっているなど簡略化されている部分もあるので注意が必要だ。

「Arsenal Gaming」はゲーミングマザーの中でも最もカジュアルなシリーズで、Steel Armor対応PCI-Eスロットによる重量級ビデオカードサポートやAmbient LightなどのLED演出機能は備えているが、NICもRealtek 8111Hになるなど簡略化されている部分も多い。
また、フォームファクタもZ170A Tomahawkを除く3モデルはMicro ATXとなっており、省スペースゲーミングマシン向けのラインナップとなっており、ウェブなどの閲覧もするけど時々MMOなどのオンラインゲームも遊びたい、そんな用途に最適なマザーボードとなっている。


■H170チップセットとZ170チップセットの違い

LGA1151プラットフォームのマザーボードといえば、自作ユースであればZ170が一般的であろう。
H170、B150、H110というチップセットも存在するが、自作向けでは圧倒的にZ170搭載の製品が多く、それ以外はBTOやメーカー製PCなどで多く見かける程度だ。
今回のH170 Gaming M3は型番の通りZ170ではなくH170を採用したゲーミングマザーだ。
まずは、Z170とH170の違いについて確認してみよう。

H170がZ170と大きく異なるのは、以下の点だ。

  • オーバークロックに非対応
  • DDR4-2133より高速なメモリに非対応(メーカー独自対応)
  • CPUのPCI-Eレーンが16×1で分割不可
  • チップセットのPCI-Eレーン数が16(Z170は20)
  • USB3.0のポート数が8(Z170は10)

このうち、最大の違いはオーバークロックに対応しているか否か、という点だろう。
オーバークロック対応のCPUといえばK型番のCore i7-6700Kなどであるが、これらのK型番のCPUを使う場合はZ170でないとオーバークロック機能を有効に出来ないので注意が必要だ。
逆に、オーバークロックに非対応のCore i7-6700などのCPUを使う場合は、上記の差が無視出来るのであれば、より安価なH170チップセット搭載のマザーボードでも問題は無い。
ただし、Z170はハイエンド製品故に様々な独自機能を付加した高機能マザーボードが数多くラインナップされているのに対し、H170はメインストリーム向けの製品であり、比較的シンプルな、安価なモデルが多いので、Kが付かないCPUであっても、Z170マザーボードと組み合わせるのも面白いだろう。


■MSI H170 Gaming M3の特徴

前述のように、Enthusiast Gamingシリーズに属する製品では唯一のH170を搭載したH170 Gaming M3であるが、実際にはどのような特徴があるのだろうか。
メーカーのWebサイトでは、以下の特徴が記載されている。

  • LGA 1151 ソケット 第6世代 Intel Core / Pentium® / Celeron プロセッサ対応
  • DDR4-2133 メモリ対応 (ECC、unbufferedメモリ対応)
  • DDR4 Boost:DDR4メモリのパフォーマンスをブースト
  • Turbo M.2 32Gb/s + Turbo U.2 ready + SATA 6Gb/s
  • GAMING LAN with LAN Protect, powered by Killer:低レーテンシーでのベストなオンラインゲームエクスペリエンス
  • Audio Boost 3:スタジオクラスのサウンドクオリティーを提供
  • Nahimic Audio Enhancer:臨場感のある音質でリアリティの限界を押し上げ
  • GAMING Hotkey:シングルボタンでお気に入りのゲームを起動
  • OBS Streaming software:あなたのゲームの成果を世界と共有!!
  • SteelSeries Certified:SteelSeries社製ゲームデバイスに最適化
  • Military Class 5:新たなチタン製チョークコイルを含む最新の高品質コンポーネント
  • MULTI-GPU with VGA Armor:VGA Armor PCI-E スロット。AMD Crossfire 対応
  • Click BIOS 5:スケーラブルフォント対応の新しい Click BIOS 5
  • GAMING CERTIFIED:最高のゲームエクスペリエンスのためのeSportプレーヤーによる24時間オン/オフラインゲームテスト

このうち、いくつか特徴的なポイントを挙げてみよう。

GAMING LAN with LAN Protect, powered by Killer

Enthusiast Gamingシリーズに属する製品であり、MSIの製品らしくKiller E2400が搭載されている。
Killer NICはアプリケーション毎に通信の優先度を設定できるなど、intelのNICとは異なりゲーミング向けの機能が強化されているNICだ。

Audio Boost 3&Nahimic Audio Enhancer

個人的に最大の売りだと思うのが、Audio Boost 3とNahimic Audio Enhancerによるリアルなサウンドだ。
MSIといえば、物理的に切り離されたオーディオ回路のAudio Boostが特徴だが、さらにNahimic Audio Enhancerにより多彩なエフェクトが可能となった。
Sound Blasterなどの製品でもエフェクトを使うことは出来るが、オンボードのマザーボードでこの機能が付いてくるのはお得だと言えよう。

Turbo M.2 32Gb/s + Turbo U.2 ready + SATA 6Gb/s

Enthusiast Gamingの他モデルとは異なり、Twin Turbo M.2ではなくTurbo M.2となり、最大速度も32Gbpsとなっている。
今回はKingston HyperX SHPM2280P2 240GB M.2 SSDを使用したが、きっちりと最高速度を叩き出していた。
配線も不要で高速なM.2 SSDはとても便利であり、現在最速のM.2 SSDでもPCI-E x4が最高なので、H170 Gaming M3でも最高速度を引き出すことが可能だ。


■まずは外見をチェック

DSC_6962

外見で特徴敵なのは、3スロット用意されたPCIスロットであろう。
ワークショップの説明では、海外ユーザーでは未だにPCIデバイス(主にサウンドカード)を使っているユーザーが多く、PCIスロットに根強い支持があるとのこと。
レガシーになりつつあるPCIをハイエンドに搭載する訳にはいかないが、ユーザーの声を無視することも出来ないため、廉価版モデルであるH170/Z170 Gaming M2に搭載されているものと思われる。
サウンドカードのほか、たとえばPT2などのPCI拡張カードを持っているユーザーにとっては最適な製品とも言えよう。

スロットの配置は、CPU直下から

  1. PCI-E x1
  2. PCI-E x16
  3. PCI
  4. PCI-E x1
  5. PCI-E x8(形状はX16)
  6. PCI
  7. PCI

となっている。

PCI-Eスロット直下のPCIスロットはビデオカードのエアフローを考えると実質使用不可なので、利用可能なPCIスロットは2スロットとなる。
2枚もPCIカードを挿すことは少ないと思うので、十分と思われる。

一見SLIに対応しているように見えるのだが、CrossFireXには対応しているが、SLIは非対応なので注意が必要だ。
といっても、このクラスのマザーボードでSLIをすることはあまりないと思うので、影響は少ないだろう。

MSI H170 Gamimg M3

インターフェースはマウス/キーボード兼用のPS/2ポート、USB×8、DVI、HDMI、サウンドI/Fとなっている。
黒いUSBポートはUSB2.0、赤いUSBポートがUSB3.1 Gen1対応ポートとなっている。
残念ながら10Gbpsを誇るUSB3.1 Gen2はH170 Gaming M3には搭載されていない。

MSI H170 Gamimg M3

LANコネクタは、通電時には赤色LEDで派手に光る。
LAN回路には他社の倍となる15KVに耐えるサージ保護機能が装備されている。

MSI H170 Gamimg M3

スロットまわりの拡大写真だが、電磁シールド付きのAudio Boost 3チップが特徴的だ。
中央のPCI-E x8スロットは内部の端子が半分しか実装されていないのが解るだろうか。
形状こそx16だが、信号線は半分となっているので、ビデオカードを装着する場合はCPUに近いスロットに装着しないと100%性能を引き出せないので要注意だ。

MSI H170 Gamimg M3

オーディオコネクタの裏には、Killer E2400チップが搭載されている。
こちらも電磁シールド付きとこだわった作りとなっている。

MSI H170 Gamimg M3

CPUへ給電するVRMは、おそらく6フェーズと思われる。
Tiのモールドが施されているのが、Military Class 5対応のチタン製チョークコイルで、耐久性、低ノイズ、効率アップなどのメリットがあるとのことだ。
CPU周りはすっきりしているので、CPUクーラーとの干渉も少ないと思われる。
CPUクーラーを取り付ける穴の周辺も部品の出っ張りが少なく、水冷クーラーのヘッドを取り付ける際も楽であった。

MSI H170 Gamimg M3

CPUスロットの下には、Turbo M.2スロットが用意されている。
長さはType 2280まで対応しているので、多くのSSDが搭載可能だ。
ビデオカードよりも上にM.2スロットがあるので、PCを組み立てた後でも比較的SSDの交換が簡易なのが有り難い。
ビデオカードのクーラーの下に位置するスロットだと、ビデオカードを取り外す必要があるので、少々手間がかかるのだ。

MSI H170 Gamimg M3

CPUとメモリスロットの間に印刷された、特徴的なDDR4 Boostの文様。
一見パターンに見えるが実際の配線ではなく、印刷となっている。
DDR4 Boostはメモリー回路を周囲の部品から独立させた作りになっており、メモリの信号に外部のノイズが混じるのを防止している。
DDR4 Boostと印刷された範囲には2つのコンデンサ以外の部品は搭載されていないのが解るだろうか。
H170はオーバークロックメモリが使用出来ないためその効果を体感するのは難しいが、メモリ周りの信号の安定性はPC全体の挙動動作に繋がるだけに、有り難い仕様と言えよう。

MSI H170 Gamimg M3

SATAコネクタ周りだが、SATA Express対応のコネクタとなっている。
各コネクタの番号は下記の通りだ。

MSI H170 Gamimg M3

使用するM.2のSSDによって使用可能なSATAコネクタ数に制限が出てしまうのだが、さらにSATA Expressが加わると複雑になってくる。
M.2のSSDおよびSATA Express使用時の各コネクタの利用可能な制約は下記の通りだ。

MSI H170 Gamimg M3
PCI-eタイプのM.2 SSDを使う場合はSATA3および4が使用不可になることに注意が必要となるのだが、デザイン上SATA3及び4は上向きのコネクタが採用され別パーツとになっているため、PCI-EタイプのSSD利用時にはここが使用不可となるのが明確でわかりやすいデザインであると思う。

MSI H170 Gamimg M3

マザーボードの裏側だが、Steel Armorスロットの特徴である、ハンダ付けされたスロット保持用の金具が解るだろうか。
通常のスロットの場合、スロットの保持パーツは単なるプラスチックの棒であることが多く、穴に刺さっただけの状態で固定されていない。
スロットはハンダ付けされた各端子でスロットを支えているのだが、重量級のビデオカードでは1Kgを越えるものもあり、その重量がスロットに加わることで接触不良の原因となってしまうことがある。
Steel Armorはスロットそのものをハンダ付けで固定することで、ビデオカードの重量を端子だけではなくスロットでも支える構造となっているのだ。

MSI H170 Gamimg M3

特徴的なAudio Boost 3の回路周り。
以前レビューさせて頂いたZ97 Gaming 5のAudio Boostではオーディオ用に電源回路まで別になっていたのだが、流石に別電源を繋ぐのは面倒だったのか、外部電源供給端子は廃止されてしまった。
完全に独立した回路設計となっているPCB基板は健在で、光を透かして見ると絶縁された回路で構成されているのが見て取れる。
PCはノイズの固まりであり、オーディオからすると非常に好ましくない条件なのであるが、回路を別にすることでノイズの混入を最低限に抑えている設計となっている。

MSI H170 Gamimg M3

Audio Boost 3の回路にはLEDが仕込まれており、電源を入れると回路の絶縁部分が赤く光る設計となっている。
基板の上を赤い線が走るのは見ていてもかっこよく、Performance Gamingシリーズのマザーボードのような派手さはないが、是非とも側面クリアーなPCケースで使いたいところだ。


■早速組み込んでみる

今回は下記のパーツで組み上げてみた。

  • CPU:intel Core i7-6700
  • マザー:MSI H170 Gaming M3
  • メモリ:Corsair Vengeance LPX DDR4 PC4-21300 8GBx2
  • SSD:Kingston HyperX SHPM2280P2 240GB
  • ビデオ:ELSA GeForce GTX780 S.A.C.
  • ケース:Antec NineHundred
  • 電源:LEPA G1000MA
  • CPUクーラー:Enermax LIQTECH ELC-LT120X-HP

 

MSI H170 Gamimg M3

組込は特に問題もなく、あっさりと完了。
電源を投入するとすんなり起動して、大きなトラブルもなく組立が可能だ。
メモリは元々Z170マザーで使用していたDDR4-2666対応のOCメモリであるが、H170ではDDR4-2133までの対応となるため、定格を下回る設定としている。
ただし、性能に余力があるためCommand Rateは1Tに設定した。
パーツとの相性もなく、素直なマザーボードだ。

■ダイレクトに操作しやすいUEFI

MSIのマザーボードで気に入っているのが、シンプルかつ操作のしやすいUEFIのインターフェースだ。
画面はEZ-MODEとADVANCEDの2種類を切り替えることが可能で、EZ-MODEでもよく使う機能については一通りの操作が可能となっている。

MSI H170 Gamimg M3

上はEZ-MODEのUEFIのスナップショット。
CPU及びマザーボードの温度、XMPの有効/無効、CPUなどの周波数、ブートデバイスの順序などのインフォメーションが上部に表示され、下段は各種の情報表示および操作となっている。
目的ごとにレイアウトが整理されているので、とても使いやすいインターフェースだと思う。

最近のマザーボードではファンの動作を詳細に設定出来るが、大抵Windowsベースのアプリケーションの場合が多い。
Windowsが起動すれば有効になるのだが、アプリケーションが常駐したり、複数のOSを使っていたりするとそれぞれに設定する必要があったりするので少々不便だったりする。
EZ-MODEでも操作可能なファンの動作設定はUEFIから詳細に設定が可能なので、とても便利だ。

MSI H170 Gamimg M3

ファンの動作設定メニューを開くと、ファンごとにタブになっており、温度と回転数がプロットされたグラフが表示される。
あとは、このグラフの座標をマウスで変更し、好きな温度とファンの回転数に設定すれば、自動的に設定された値に基づいてファンが制御される。
UEFIでここまで設定出来るのはとても使い勝手が良い。

MSI H170 Gamimg M3

EZ-MODEからADVANCEDに設定を変更すると、おなじみの項目毎の詳細メニューが表示される。
オーバークロック対応のZ170とは異なり、H170ではオーバークロック不可ということもあって、ADVANCEDで設定する場面はあまりない。
強いて言えば、今回のようにオーバークロックメモリを定格で使用していて、タイミングを詰めるとか、オンボードデバイスを無効にするといった場面であろうか。

MSI H170 Gamimg M3

MSIのUEFIで気に入っている機能の一つが、設定を保存して終了する際に表示される、設定変更項目一覧だ。
どのような設定を変更したのかが一覧で表示されるので、いちいちメモする必要がない。
UEFIの画面をスクリーンショットで保存することもできるので、組み合わせて使用するとオーバークロックの際の確認などにも便利だ。

■Nahimicを体感してみる

Enthusiast Gamingシリーズの特徴の一つである、Nahimic(ナヒミク) Audio Enhancer。
2chのスピーカーやヘッドフォンで7.1chを実現する仮想サラウンド機能、周波数特性調整、ゲーム中の音声を聞きやすくするボイス解析度調整とチャット中の効果音による聞き取りにくさを解消するボイスレベル調整、BASSブーストによる迫力のある効果音、ノイズリダクションなど多彩な機能を有しているのが特徴だ。
H170 Gaming M3でも、このNahimic Audio Enhancerが使えるので、早速使ってみた。

Nahimicの設定はとても簡単で、アプリケーションを起動し、オーディオのタブを選んでプロファイルを選択するだけだ。

MSI H170 Gamimg M3

プロファイルは「音楽」「ゲーミング」「映画」の3種類が最初からプリセットされている。
プロファイルを選ぶとデフォルトのセッティングがロードされるが、6つある項目を好きに変更することも可能だ。
実際に聴きながらセッティングを変更すると良いだろう。

MSI H170 Gamimg M3

今回のPCには音声入力用のマイクは接続していないため有効になっていないが、ボイスレベル調整はマイクロフォンのタブから設定が可能だ。

nahimic_3

Nahimic Audio Enhancerであるが、一つだけ注意すべきはnVidiaのShadow Playには対応していない点だ。
実際にShadow Playでゲームを録画してみたところ、音声が無音となってしまっていた。
しかし、HDオーディオレコーダーのタブにはXsplit GamecasterやOBS Open Broadcaster Softwareでの設定があり、これらのソフトでは音声録音も対応していると思われる。

使い方については以下の公式動画がわかりやすい。

実際に、ゲームでNahimicを利用して違いを確認してみたのが、以下の動画だ。
違いが分かりやすいよう、リバーブを100%にしているのでかなり実況アナウンスの印象が違ってしまっているが、リバーブを抑えればそれほど変化しないのでご安心を。
社内で声が籠もっている感じが出るので、個人的にはリバーブ強めが好きだったりする。

こうして比べると、だいぶ印象が違うのが解るだろうか。
ヘッドフォンを使うと、よりバーチャルサラウンドの効果が感じ取れるはずだ。

なお、動画をShadow Playで録画したため、音声だけ別途Line出力からアナログケーブルで別のPCに接続し、Sound Blasterを使ってアナログ録音している。
このためダイナミックレンジが少し減ってしまっている感じがする。
実際にはもっとワイドな感じだ。

また、Nahimicの注意点として、デジタル出力では使用不可という点が挙げられる。
アナログ出力でないとNahimicが有効にならないので、外部DACを使っている方は注意が必要だ。
幸い、Audio Boost 3のアナログ部分離設計によるノイズが少ない高音質なオンボード音源を搭載しているので、そのままアクティブスピーカーやヘッドフォンで楽しむことが可能だ。

■統合ユーティリティ「MSI Command Center」

command_center

Windows上からもUEFIの設定を変更可能なユーティリティである、MSI Command Centerが利用可能だが、H180ということもあって、ファンの設定変更以外はあまり出番は無い感じだ。
これらのユーティリティはどちらかというとオーバークロックの設定に向いており、H170を採用したH170 Gaming M3の場合は自由度が少ないのがネックになってしまっている。

command_center_sensors

ただし、PC内部の温度を確認するためのReal-Time Onboard Temprature Sensors Control画面が見やすく、これから暑くなる夏場に向け、PC内部の確認を行うには便利だ。


■使ってみての感想

Core i7-6700と組み合わせてゲーミングマシンを組み立ててみたが、H170を搭載したエントリーマザーボードであっても、Killer E2400のほか通常のキーボードをマクロ対応にするGaming Hotkeyなどの機能もあり、きちんと「ゲーミング」向けのフューチャーは抑えているマザーボードだ。
特に、Nahimicはオンボードのサウンドを利用して手軽に使えるので、臨場感がより盛り上がってゲームがさらに楽しめる。
K型番のオーバークロック対応CPUには対応していないが、コストを抑え、定格動作による安定性重視のゲーミングPCを組むには最適なマザーボードであると思う。

H170 Gaming M3の価格はAmazonやツクモなどのPCショップでは¥15,680(現時点)であり、H170搭載マザーボードとしても高額では無い。
Enthusiast Gamingシリーズに属するワンランク上の製品であるZ170A GAMING M5は\25,000前後であり、約1万円の差額を考えるとH170 Gaming M3のコストパフォーマンスが際立っている。
1万円の差額があればビデオカードをワンランク上げることも可能なので、オーバークロックを行わないのであれば、H170 Gaming M3とCore i5-6600あたりを組み合わせ、ビデオカードに予算を振り分けるのも良いだろう。
特に、K型番のないCPUはTDPも抑えられているので、発熱が少ないというメリットもある。
PCIカードを持っているユーザーにとっても、数少ないPCIスロットを有したゲーミング向けマザーボードなのでお勧めだ。
H170搭載の低価格帯マザーボードは各社魅力のある製品を投入している激戦区だが、ゲーミングという特徴を活かしたH170 Gaming H3はユニークな特徴を備えた面白い製品であると感じた。

【ZenPad S 8.0 レビュー】その③:ZenTour 2016の感想ほか

AsusのZenシリーズが一堂に会するイベント「ZenTour」ですが、追加開催が決まったみたいですね。
https://docs.google.com/forms/d/1UjqsXzyY96U9tNpwx3qDO2QzbeyFWKUohodc-s7a6FE/viewform#start=openform
といっても、応募期間は15日まででしたので、すでに過ぎてしまっている訳ですが…。

ZenTourイベントですが、Asusの中の人が多数参加されており、色々な意見を直接質問したりする機会がありました。
アンチグレア推進派な私としては是非アンチグレアな端末を!と聴いてみましたが、やはり難しいんだろうなー。
マーケティング的にはNGでしょうけど、あったら買いたい…。

あと、ディスプレイに映り込み防止コーティングなどを施しているということもあって、フィルムについても確認してみました。
液晶保護にはあった方がいいフィルムですが、貼り付けるとどうしても透過性が犠牲になります。
しかもアンチグレアタイプはコントラストも落ちるので、映像の美しさも売りであるZenPadとしてはどうなのかな…と。

答えとしてはメーカー純正フィルムも出しているためオフィシャルとしての回答は出来ないという前置きの上で、担当の方曰く「個人的には使わない方がいい」とのこと。
たしかに、フィルムを使わないほうがコントラストの良いクリアーな画像で楽しめますし、良さを生かせますよね。
しかし、個人的にガラスに手の汚れが付きやすく、滑りにくいのがどうしても苦手というか…。

DSC_7363

…というわけで貼ってしまいました、アンチグレアフィルム。
しかも純正ではなくバッファロー製。
3分割シートになっているので、位置をピッタリ合わせて貼ることが可能です。
ただ、上下の保護シートを剥がす際に、細かい埃が入り込みやすいので注意してください。
混入した埃を取るのは、マスキングテープを使うのが一番です。

DSC_7367

フィルムを貼った液晶画面を撮影してみましたが、若干コントラストは甘くなったものの、高精細さは損なわれていません。
タッチフィーリングはサラサラになってとても良い感じ。
スタイラスペンも滑りやすくなったような気がします。

話はズレましたが、ZenTourでは、他のZenシリーズの製品も試すことが出来ましたので、写真でご紹介。
ちなみに、撮影はZenPad S 8.0で行っています。
サイズは大きくなってしまいますが、縮小無しのサイズで掲載しておきますので、画質のサンプルとしてもご活用くださいませ。

Jpeg

ZenFone各種。
Selfieは外国だと根強い人気がありそうですよね。
日本だとセルフィーってそこまで人気が無いというか、流行ってないような。自撮り棒とか人混みの中で使われると邪魔ですしね。

個人的に楽しいと思ったのが、ZenFone Zoom。
スマホなのに3倍光学ズームを搭載してしまった製品です。
3倍と聞くと少ないような気がしますが、予想外にズーム出来て便利そうでした。
デジタルズームだとどうしても荒れてしまいますが、光学ズームだとそれが無いのでより多彩な撮影が可能となります。
スマホとして使うには少々重たくて大きかった感じはありますが、完全にコンデジを駆逐する製品ですよね。

ズームレンズですが、非球面レンズ4枚、ガラス4枚、プリズム2枚という10枚構成になっており、レンズから入った光をプリズムで90度方向転換し、横方向に配置した4枚のレンズを使ってズーム制御を行い、最終的に再度プリズムで90度方向を変え、CMOSセンサーに入力しています。
これをスマホの中で行っているのだから凄いとしか。

Jpeg

可愛いと思ったのが、ZenPower。
10050mAhのモバイルバッテリーなのですが、角丸のフォルムのアルマイト処理されたアルミケースに収まっていて、なかなかスタイリッシュ。
4色展開ですが、いずれも品があって良い感じの色だと思います。
ただ、鞄の中にそのまま放り込むと、角で他のデバイスを傷つけたりしそうなのでちょっと要注意かもしれません。

Jpeg

モデル名が記載されていませんでしたが、おそらくASUS ZenBook UX305UAと思われます。
半年前までZenBook Prime UX31を使っていたのですが、ZenBookシリーズは筐体の剛性もあり、キーボードも打ちやすくて気に入っているシリーズです。
ただ、UX31は内蔵SSDが致命的に遅いことと、メモリが4GBなのがネックなんですよね。
といっても、当時はIPSなフルHD液晶搭載モデルってこれしかなかったので、贅沢は言えないのですが。
SSDが独自規格だったりと、結構無理している感じはありますが、今でも十分に使えるノートPCだと思います。

Asusといえば、最初にPC/AT互換機を自作したときに使ったマザーボードが、P/I-XP55T2P4でした。
256KBのL2キャッシュを増設して長く使っていましたが、当時は自作のド定番マザーでしたね。
ちょうどATX規格の走りだったころに登場したマザーです。
その後、NCCH-DLでDual XeonなPCを組んだり、歴代のROGシリーズのマザーを使いつつ、今のメインPCはRampage IV Extremeを使っていますので、なんだかんだで他メーカーに浮気をしつつも、メイン環境は常にAsusだったように思います。

好きなメーカーでもありますので、今後も魅力的な製品を色々と出していって欲しいと思います。