ソフトバンク光でIPv6ハイブリッド通信を使う場合に必要な、光BBユニット。 IPv6ハイブリッド通信を行うには、オプション契約の光BBユニットが必要なのですが、この光BBユニット、使いづらい上に性能がよろしくありません。 WarGamingのWorld of Tanksというゲームのパッチダウンロードでフリーズする(!)こともあったくらいの代物で、ゲーム用途どころか、日常用途でも不安たっぷりです。
そこで、光BBユニットを取り外し、BuffaloのWXR-1750DHPを使ってIPv6でPPPoE接続を行っていたのですが、このWXR-1750DHPもかなりくせ者で、World of Warshipsでプレーしている最中に、pingが4000msを超えて(!)カクカクどころか気づいたら沈没している始末。 多人数プレーのオンラインゲームなので、迷惑どころの話ではありません。 また、無線の感度もかなりシビアで、受信側のアンテナの位置を少し変えただけでも電波状況が大きく変わったりして、なかなか安定しませんでした。
さすがに我慢できず、違うルーターにしよう…と、光BBユニットを利用せずにIPv6でPPPoE接続が可能なBuffaloのルーターを探していたのですが、ソフトバンクのIPv6ハイブリッドを使うならIPv6 IPoEが利用できる光BBユニットを繋いだ方が良さそう。 光BBユニットを生かして、ルーターだけ他社製品を活用できないか…ということで何か方法がないかと考えていたところ、光BBユニットにはDMZ機能があることが判明。 DMZとは非武装地帯の略で、ルーター側がDMZで指定したIPの通信は、外部からの通信もすべてそのまま届く、いわばインターネットに直接繋がった状態となります。 PCをDMZのアドレスで使うのはセキュリティ的にオススメできませんが、光BBユニットでDMZに指定したIPアドレスに、別のルーターのWAN側IPを指定すれば、光BBユニットの貧弱なルーター機能はほぼ無視した状態で、高性能な市販ルーターを活用できそうです。
BBユニットのWi-Fiを別のルーターに置き換える方法だけでは最高の通信速度を引き出せない 「ソフトバンク光の速度改善」という内容で、光BBユニット側のWi-Fi機能をOFFにし、市販ルーターをブリッジモードにしてWi-Fi機能を利用する方法を紹介しているサイトもありますが、これではWi-Fiの電波強度は改善出来るとしても、ルーター部分は光BBユニットを利用することとなり、この部分のボトルネックが解消できません。
簡単に、図にしてみました。 左側の黒い機械がインターネット側、グレーで囲った部分が光BBユニット、アンテナが4本立っているのが市販ルーター、右側がPCなどのネットワーク機器です。
①光BBユニットを導入してIPv6ハイブリッド通信を利用可能にする 光BBユニットを導入すると、IPv6ハイブリッド通信が利用可能になります。 IPv6ハイブリッド通信でインターネットへの接続は高速化されますが、光BBユニットの処理能力の低さ(上記のイラストではCPUと記載)とWi-Fiアンテナの低性能が相まって、PCが高速に通信することができません。
②市販の無線ルーターを導入する 多くのサイトで紹介されている方法がこちら。光BBユニットのWi-Fi機能を無効にし、市販ルーターのWi-Fi機能を利用します。 光BBユニットの貧弱なWi-Fi機能ではなく、市販ルーターの強力な電波を利用できますので、通信距離などによる電波強度の問題は改善します。 ただし、市販ルーターはブリッジモードで使うことになりますので、市販ルーターの高性能なルーター機能を生かせません。
光BBユニットのルーター能力はかなり貧弱で、市販のルーターを導入して電波状態は良くなったけど、ネットワークが時々不安定…という方もいると思います。 そんなときは、大抵光BBユニットのルーター側の問題のような気がします。 ルーターに負荷がかからない場合は、この方法で問題が解決する場合もあると思いますが、光BBユニットのルーター能力がボトルネックであることには変わりありません。 かといって、光BBユニットを取り外すと、IPv6ハイブリッド通信が使えませんので悩むところです…
③光BBユニットのDMZ機能を使って、光BBユニットを無視して通信する そこで登場するのがこの③の方法です。光BBユニットはIPv6ハイブリッド通信の為だけに使い、全ての通信はDMZのIPへ通すことで光BBユニットをスルーさせます。 高性能なルーターをDMZに指定したIPアドレスで利用することで、IPV6 IPoE+IPv4のIPv6ハイブリッド通信を維持したまま、ルーターの機能も、Wi-Fiの機能も、全て市販ルーターの能力を使って通信することができます。 我が家では、インターネットの接続速度が400Mbps程度まで跳ね上がりました。
高性能なWi-Fiルーターは何を買うべきか ルーターは何が良いかと悩んでいたのですが、購入にあたって重要視したのは、 ・障害に強い2.4GHz帯でも最低600Mbps以上あること ・なによりも安定すること ・壁掛けできること(設置場所の関係で壁掛け必須) という条件です。
そのような条件の中、購入したのは前々から興味のあったASUSのゲーミングルータ、RT-AC88Uとなりました。 11ac 2167+1000Mbpsという超高速、1.4GHzデュアルコアプロセッサーに512MBメモリと、ルーターとしては破格なスペックを誇ります。
RT-AC88U
その分値段も2万5千円~といった感じでかなり割高ですが、最近Wi-Fi6対応の後継機が登場したこともあり、値段がこなれてきた感じです。 今までいろいろなルーターを使ってきましたが、ASUSのルーターは安定していますし、ゲーミング用のものはCPUもパワフルなのでサクサク快適です。
ルーターはISDNだった頃も含めかなりの台数を乗り継いできましたが、最近感じるのはBuffaloなどの国内メーカーがいまいち安定度に欠けるようになり、海外製品の方が安定して使える、という点です。 特に電波強度は海外製品のほうが圧倒的に良く、BuffaloもAsusも技適マークが付いているにもかかわらず、Asusの電波の飛び方は家の離れたところでも強度は十分で、不安定になることはありません。 Buffaloのルーターを使っていたときはかなりシビアで、アンテナの向きを変えないと電波が捕まえられない、なんてしょっちゅうでしたからね…
Asus RT-AX3000 Wi-Fi6対応機種が出たことで、RT-AC88Uは型落ちとなってしまい、Amazonには無くなってしまいました…。 というわけで、Asusからはゲーミングルーターではないものの、2万円を切るバーゲンプライスで登場した、Wi-Fi6対応の最新機種RT-AX3000を選んでみました。 RT-AC88Uと同じAsus製ということもあり、設定画面のUIはRT-AX3000とRT-AC88Uでほぼ同じようです。 この記事の中で説明している通りの方法で設定できると思いますので、設定方法がわからないーという方はAsusの機種を選ぶといいかもしれません。
RT-AX56U 同じASUS製の、比較的お手軽なWi-Fi6対応ルーター。5GHzこそRT-AX3000の2402Mbpsから比べると半減の1201Mbpsですが、家庭内LANとしては十分な速さだと思います。 この記事で紹介しているルーターと同じメーカーのため、設定方法も同一だと思います。 似たような価格帯の製品として、RT-AX55というモデルもありますが、価格差は1000円程度しか変わりませんが、中身は結構違うようです。 どこら辺が違うのか解りづらいので、簡単にまとめてみました。RT-AX56Uのメリット・デメリット
○:メモリが256MB、フラッシュメモリ512MB ○:USB2およびUSB3端子を搭載。プリンタサーバー、NAS、メディアサーバー、Time Machine for Macに対応 ○:RT-55と比べて1,000円くらい安い ×:アンテナが2本 RT-AX55のメリット・デメリット
○:アンテナが4本 ×:メモリが128MB、フラッシュメモリ256MB と半減 ×:LAN端子のみ、USB端子がないのでメディアサーバーなどの機能が利用できない といったところ。 なお、CPUは両方ともBroadcom BCM6755を採用しているので同一となります。 個人的には、価格も安く、メディアサーバーとしても使えるRT-AX56Uをおすすめとしました。
TP-Link Archer A10 安価なルーターが良い場合は、コストパフォーマンス抜群なTP-Linkの製品がよさそう。 1733+800Mbps MU-MIMO対応のルーターが7千円台は破格値でしょう… 最近のBuffaloのルーターはいまいち安定しないので、TP-Linkの方が個人的にはオススメです。 なお、Amazonなどでも人気があるBuffaloのルーターですが、最近の製品が立て続けに2台イマイチな感じだったので、おすすめからは外しています。 というか、Asusのルーターの電波強度が圧倒的な上、Mesh機能がとても便利なので、あえてBuffaloを選ぶ必要も無いかな、と…。
光BBユニット+RT-AC88UでIPv6ハイブリッド環境を構築してみる DMZを使って高速化するための設定は、以下の手順で行います。 別のルーターをお使いの方は、RT-AC88Uと書かれている箇所をそのルーターに置き換えてみてください。
光BBユニットにPCを繋ぎ、管理画面からログインし、DMZを有効にして無線LANを無効にする RT-AC88UのWAN側のIPアドレスを、光BBユニットで指定したDMZのIPアドレスに設定する 光BBユニットのLANコネクタと、RT-AC88UのWANコネクタをLANケーブルで繋ぐ RT-AC88U経由でインターネット接続できることを確認する 接続図は下記のようになります。
光BBユニットでIPアドレス 192.168.3.100に対してDMZを有効にし、RT-AC88UのWAN側IPアドレスを196.168.3.100の固定IPにします。 これでRT-AC88UのWAN側はDMZとなりますので、全ての通信は光BBユニットをスルーし、RT-AC88UのWAN側インターフェースに届くようになります。 あとは、RT-AC88UのWi-FiやLANコネクタを通じてPCやスマホなどを接続すれば作業は完了です。
RT-AC88UのLAN側のセグメントはデフォルトで192.168.1.xxxになっていますが、私の環境は192.168.11.xxxで今まで使用していたこともあり、他の機器の設定をやり直すが面倒なため、RT-AC88UのLAN側のアドレスを変更して使用しています。
手順1:光BBユニットのDMZを有効にする まず、光BBユニットのLAN端子にPCを接続し、管理画面を開いて操作を行います。 有線LANが無いときは、無線LANでBBユニットに繋いだ状態でも作業可能です。
光BBユニットのIPアドレスは、出荷時に192.168.3.1となっていますので、光BBユニットとPCを繋いだらブラウザを開き、192.168.3.1にアクセスします。 ユーザー認証がありますので、 ID:user パスワード:user を入力して管理画面にログインします。
管理画面にログインしたら、上記のような画面が表示されます。 オレンジ枠で囲った、「ルーター機能の設定」を選択します。
ルーター機能の設定画面が開きます。 左側のメニューに、「DMZ設定」がありますので、クリックしてください。
DMZ機能を「有効」にチェックを入れます。 IPアドレスは、192.168.3.100を設定します。 設定を保存するをクリックして設定を保存してください。 これで、IPアドレス192.168.3.100はDMZとして扱われます。
手順2:RT-AC88UをDMZに接続する 続いて、ルーター側の設定を行います。 光BBユニットとは繋がない状態でRT-AC88Uの電源を入れ、RT-AC88UとPCをLANケーブルで繋ぐ、あるいはWi-Fiで接続してルーターの設定画面を開きます。 RT-AC88Uの管理画面を開くには、ブラウザに192.168.1.1を入力するとログイン画面が表示されます。
管理画面が表示されずにエラーが出る場合は、PCがIPアドレスの取得に失敗している可能性がありますので、PCのLANインターフェースのIPアドレスを IPアドレス:192.168.1.2 サブネットマスク:255.255.255.0 デフォルトゲートウェイ:192.168.1.1 に設定してみてください。
設定は簡単で、WAN側の設定を以下のようにするだけです。
WAN接続タイプ:静的IPアドレス IPアドレス:192.168.3.100 サブネットマスク:255.255.255.0 デフォルトゲートウェイ:192.168.3.1 DNSサーバー:8.8.8.8および192.168.3.1 これだけで完了です。 設定が完了したら、光BBユニットのLANコネクタとRT-AC88UのWANコネクタをLANケーブルで接続し、デスクトップPCなどの機器をRT-AC88UのLAN側、もしくはWi-Fiに繋ぐだけです。 接続が完了したら、PCでブラウザを立ち上げて、インターネットに接続できているか確認してみてください。 また、インターネットに接続できているかは、RT-AC88Uの管理画面でネットワークの状況が確認できます。
管理画面を開き、インターネットの状態が「接続済み」になっていれば、通信可能状態となります。 WAN側のIPアドレスが、光BBユニットでDMZに指定した192.168.3.100になっていることが確認できます。
手順3:光BBユニットの無線LANを停止する この手順は必須ではないのですが、RT-AC88Uの無線LANを使うのであれば、光BBユニットの無線LAN機能は通信帯域を無駄に使うだけなので停止しましょう。 頂いたコメントでは、光BBユニットの無線LANが有効になっていると、不具合が発生する例もあるようです。
停止方法ですが、光BBユニットの管理画面にアクセスします。 RT-AC88U経由でも、192.168.3.1にアクセスすれば光BBユニットの管理画面へアクセス可能です。
管理画面にアクセスしたら、くわしい設定にある、無線LANの設定を選択します。
無線LANの設定画面が開いたら、左側のメニューの一番下にある、無線LAN機能停止設定を選択してください。
無線LAN機能の停止画面で、無線LAN機能を「無効」に設定すれば、光BBユニットの無線LANを無効化できます。
回線速度を測定してみる WXR-1750DHPと比べ、光BBユニット+RT-AC88U環境ではどれくらい高速になったのか、確認してみたいと思います。 テストに使ったPCには、RT-AC88Uの性能を100%生かせる、11ac 2167Mbps+1000Mbpsという速度を誇る無線LANアダプタ、PCE-AC88を取り付けています。
■WXR-1750DHPを直接繋いでIPv6接続をしていた頃の速度 光BBユニットを外し、Buffalo WXR-1750DHPを使っていた頃の回線速度は以下の通りです。
ダウンロード:約70Mbps アップロード:約50Mbps
■BBユニット+RT-AC88UでIPv6 IPoE+IPv4ハイブリッド通信の速度光BBユニット+RT-AC88Uという構成で測定した回線速度は以下の通りです。 ※環境が変わりましたので、再計測しました
Googleのインターネット速度テストでは、ダウンロード422Mbps、アップロード449.5Mbpsとなりました。 ソフトバンク光とは思えない、超高速っぷりです。
fastの値でも、ダウンロード400Mbps、アップロード490MbpsとGoogleに近い数字が出ています。 圧倒的な速度向上です。
BROADBAND speedtestサイトによる計測。 ダウンロードは406.21Mbps、アップロードは396.58Mbpsと圧倒的な速さ。 無線LANでこれだけ出ていますから、速度的には文句なしです。
もともと、ダウンロード70Mbps、アップロード50Mbpsでしたから、ダウンロード、アップロードともに400Mbpsで計算すると、ざっとダウンロードは6倍に、アップロードは8倍に高速になった計算です。
IPv6で通信できるように設定する 上記の方法でIPv6ハイブリッド通信は可能になりますが、インターネットへはIPv4でアクセスしている状態です。 せっかくIPv6が使えるようになりましたので、外部サーバーともIPv6で疎通できるようにしてみましょう。
RT-AC88Uの管理画面にアクセスし、IPv6の設定画面を開きます。 基本設定の接続タイプを「passthrough」を選択し、適用をクリックします。 これで、IPv6で接続できるようになります。
ただし、パススルーなのでIPv6の場合はアクセスしている機器が外部機器と直接繋がることになります。 ルーター側にIPv6のFirewallがあるので大丈夫だとは思いますが、気になる方はIPv6のパススルーは無効にしておいたほうが良いと思います。
IPv6接続を確認するためのサイトにアクセスすると、上記のようにIPv6で繋がっていることが確認できました。https://test-ipv6.com/index.html.ja_JP
ルーターをWXR-1750DHPからRT-AC88Uに交換してみた感想 今まで不安定で、ゲーム途中にラグで止まってしまうことも多々あったWXR-1750DHPと比べると、RT-AC88Uの安定っぷりは素晴らしく、とても安心感があります。 しかも、今まではアンテナの位置をあれこれ微妙に変えないと電波状況が芳しくなかったのが、RT-AC88Uに交換すると、PCE-AC88のアンテナを適当に置いた状態でも1300Mbps以上の速度で繋がり、素晴らしい速度が出ています。 今までは無線LANがボトルネックになっていましたが、RT-AC88Uに交換してから、その不満もなくなり、大満足です。
いろいろルーターを買い換えてきましたが、少し高いですが、最初からRT-AC88Uにしておけば良かったと思いました… 市販ルーターが側の高度なルーター機能を利用できますので、自宅でサーバーを公開するような場合でも、この方法は役に立つと思います。