リノリウム貼りの甲板ですが、そのままではのっぺりしているので、リノリウム押さえを再現してアクセントを付けると良い感じになります。
リノリウム押さえに使う真鍮線ですが、1/700スケールですと0.1mm(実寸換算7cm)程度の真鍮線がよさそうです。
しかし、残念ながら0.1mmの真鍮線が入手困難(製造メーカーが倒産してしまったらしい)で、店舗や通販で購入できるのは0.2mm~あたりの太さのものしか売られていません。
代わりになるものを…と探していたところ、金属の錆などを落とす真鍮ブラシのブラシ部分が太さ的にも使えるかも?と思いつき、チャレンジしてみました。
真鍮ブラシですが、使用されている真鍮線は約0.1mm~0.15mm径となります。
上の写真のブラシは、東急ハンズで売られていた、一番真鍮線が細かったもの。
このブラシ部分は束ねられた真鍮線を、U字の金具で深いところに埋め込んでいますので、木製の柄から引っこ抜いて使用します。
そのまま引っこ抜くのは大変というかまず無理なので、木の柄の部分をニッパーなどでバキバキと刻んでいくと、簡単に取り外し可能です。
※写真のブラシの、左上が欠けているのは真鍮線を取り外したためです。
真鍮ブラシに使用されている真鍮線径は0.1~0.3mm程度と、かなりばらつきがあります。
ネットで売られているものはスペック表記がないものも多いため、太さが確認できません。
近くのホームセンターなどで、真鍮線の太さを確認してから購入されると良いかと思います。
※真鍮ブラシはホームセンターなどに行けばいろいろ売っています。
引っこ抜いた真鍮線。
太さは0.2mmのピアノ線と比較してもかなり細いため、おそらく0.1mm~0.15mm程度(たぶん0.15mm?)と思われます。
ブラシで使うために波状の加工が施されており、さらに埋め込むためにV字型に曲がっているため、まっすぐに直します。
ブラシ用の真鍮線は硬化処理がなされているため、そのままではまっすぐに加工できません。
そのため、焼き鈍し処理を行います。
350℃程度を加えればいいのですが、そのあたりの温度を安定して加えることは難しいので、ろうそくの先で軽く熱して焼き鈍しを行います。
あまり時間をかけてしまうと溶けてしまうので、さっと炙る程度でOK。
赤熱するまで加熱する必要はありません。
指で簡単に曲げられる様になれば、焼き鈍しは完了です。
焼き鈍した真鍮線は表面が焼けて変色してしまうため、サンドペーパーで表面を磨きます。
私は1000番のスポンジヤスリを使っていますが、サンドペーパーよりも弾力があり、使いやすいのでオススメです。
真鍮の色が戻ったら、まっすぐになるように加工します。
加工に使うのは、真鍮板と真鍮ブロック。
真鍮板の上に焼き鈍した真鍮線を載せ、真鍮ブロックで押さえ込んで、ゴロゴロと転がしながらまっすぐに伸ばしていきます。
真鍮線を伸ばすには、素材と同じく真鍮のブロックと真鍮板を使うことをお勧めします。
安価なアルミブロックなどを使うと、真鍮線の表面にアルミが付着してしまい、色がシルバーがかってしまうので、よろしくありません。
この方法で伸ばす場合には、素材と同じ金属を使うことが一番良いと思います。
※下に置く板ですが、真鍮製よりもステンレス製のほうがいいかもしれません。詳しくはページ下記を参照してください。
まっすぐに伸ばした真鍮線。
これを適当な長さに切って、甲板に貼り付けていきます。
接着には流し込みタイプのプラスチック接着剤を使っています。
プラスチック同士を接着させるもののため、真鍮線は強固にはくっつきませんが、プラスチック側を溶かすため、触っても剥がれない程度には接着可能です。
ただし、上からマスキングテープを貼ったりすることなどは出来ませんので要注意です(かんたんに剥がれます…)。
また、指やピンセットで強く押したりすると、アッサリと取れますのでこれまた要注意。
瞬間接着剤を使った方が接着力は上ですが、白化現象を避けたいことと、細かく位置を調整したあとにそのまま接着できない(接着剤塗布→接着なので、先に仮置きによる位置調整ができない)ため、流し込みタイプの接着剤を使用しています。
途中まで加工した阿賀野の甲板。
手すりを付ける際にリノリウム押さえがあると浮いてしまうので、舷側に近い部分は0.5mmほど空けておきます。
こちらは張り終えた阿賀野の後部甲板。
接着剤がはみ出した部分などは、あとで塗装することで補修可能です。
貼り付けていくのはかなり手間がかかりますが、効果絶大です。
貼り付けたリノリウム押さえはそのままでは金属の光沢がかなり目立ちますが、組み立てたあとにつや消しクリアーを塗装すると光沢を抑えられます。
ゼヒ、お試しあれ。
なお、駆逐艦は真鍮ではなくブリキだったという記録もあります。
ブリキの場合は極細電線で使用されている芯線を使うのが一番安上がりです。
こちらをまっすぐ伸ばす場合は、アルミのさいころとアルミ板があると便利です。
Amazonで線径表示がある真鍮ブラシのなかでも、もっとも細いのがこれ。
0.14mmの真鍮線を使用しています。
真鍮を延ばすのに便利な真鍮ブロックと真鍮板。
駆逐艦の場合は、こちらのアルミのサイコロがオススメです。
リノリウム押さえの接着には、流し込みタイプの接着剤が便利。
接着方法については、下記の記事で補足していますので、宜しければご参照くださいませ~
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2014/6/22 追記
真鍮線を伸ばすときに使う真鍮板ですが、真鍮板だと表面が汚れやすく、こまめにメンテしないと表面の汚れが真鍮線についてしまい、くすんだ状態になってしまいます。
くすんだ状態の真鍮板。
このような状態で加工すると、真鍮線が汚くなってしまいます。
作業をする際、板側は真鍮ではなく、ステンレスのほうが良さそうな感じです。
ステンレスは固いためアルミのように真鍮線に銀色の金属粉が付着することもありません。
金属サイコロ側は真鍮線と擦れるためアルミだと銀色になってしまいます。
こちらは真鍮ブロックのほうが便利でした。
ステンレス製のさいころなどがあれば、代用できるかもしれません。