KEN-RAD製の2A3を入手!

大人気の出力管といえば300Bだと思いますが、より繊細な音を奏でる2A3も良い球だと思います。
300Bのような力強さには欠けますが、響くような優しい音色はやはり独特の魅力です。

KEN-RAD 2A3
私が使っているSV-2A3EPXは6SN7→6V6→2A3プッシュプルという構成なのですが、購入時は全てロシア製の真空管がセットされていました。
比較的安価に手に入る初段まわりから球を入れ替えてきましたが、KEN-RADの2A3が4本入手できる機会があったので思わず飛びついてしまいました。

これで、初期状態からは以下の構成となっています。
Electro Harmonix 6SN7 → RCA 6SN7
Electro Harmonix 6V6 → Marconi 6V6
SOVTEK 2A3 → KEN-RAD 2A3
SOVTEK 5U4G → Mullard CV378
ロシア管はいずれも現在でも製造していますので、新品での入手は容易です。
交換後のヴィンテージ管は全て生産を終了しているもので、1940~50年代に作られたものが主になっています。

SV-2A3EPX

手前が購入時に付属した真空管、セットされているのが現在の組み合わせ。
音の傾向が全く異なるアンプに手軽に変更できるのも、真空管アンプならではの楽しみ方。

2A3といえば至高はRCAのシングルプレートだと思いますがぶっ飛ぶくらい高い(1本6~8万とかざら)ので購入出来ませぬ。
RCAの2A3はごく少数が出回った初期のシングルプレート、H型の2枚プレートの2種類がありますが、後者であれば1本1~2万円台と、比較的購入しやすい価格で出回っています。
ただ、デュアルプレートでも初期型はスプリングでフィラメントを吊った構造になっていますが、後期型はマイカで直接フィラメントを支えるシンプルな構造になってしまっており、見た目もイマイチ微妙です。

KEN-RAD 2A3

今回購入したKEN-RADの2A3ですが、人気では定番RCAの2A3には劣るようで、比較的安価に購入できました。
KEN-RADの2A3の特徴はなんと言ってもカーボンスートされた外観でしょう。
中身が見えない!ということで不人気なカーボンスートですが、個人的には独特の存在感があって好きです。(しかも安い)
特にKEN-RADの2A3は下部はゲッターのシルバーコーティング、上部はカーボンスートで真っ黒とものすごい存在感を放っていて、アンプに載せても目立って良い感じ。

KEN-RADの2A3を気に入っている理由はもう一つあり、RCAなどの後期型2A3と比べて、頑強かつ丁寧な作りになっているという点。
トップマイカはマイカサポートでしっかりと管壁に固定され、十字型に配置された太いアームで保持されています。
フィラメントは釣り竿状のスプリングで吊られている構造になっており、後期型のRCA製2A3と比べると遙かに手間が掛かっています。

KEN-RAD 2A3

トップマイカにはサポーターが取り付けられており、管壁にしっかりと固定されています。
マイカは8本の支柱でしっかりと支えられており、フィラメントは竿状のスプリングで吊られています。

SOVTEKの2A3から交換して鳴らしてみた印象は、派手さはなくなりますがヴォーカルとピアノの響きがまったくの別物になり、よりリラックスして聴けるサウンドになりました。
女性ヴォーカルで言うと、少し乾燥気味で響いていたサ行が水で潤したようになめらかになったというか、そんな感じ。
油断すると、聴いていて寝ますね、これ…

まずはしっかりとセッティングすれば定位がきちんと出て、あたかも目の前で歌っているが如くの臨場感を得られますが、真空管アンプって管を買えることで音の表情が変わるので余計楽しさが増します。
気に入っている歌手の歌声を、より濃厚に、あるいは響くように透明に、といった感じで好みの雰囲気というか方向に持って行けるというか。
しかも、50年、60年といった昔に作られたヴィンテージ管から、目の前で歌い上げるようなとても生々しいサウンドを奏でる訳で、ある意味沼にはまるのも解ります。
管それぞれに個性があるんですよね。

KEN-RAD 2A3

世の中、WEの300Bなどのようにウン十万もする真空管もありますが、流石にそこまでは手が出ません。
といっても、数千円~数万円でもヴィンテージ管はまだ多数入手可能ですし、限られた予算で色々買ってみて試せるのも、真空管アンプの良さだと思います。
しかも、製造を終了している製品なので、将来的に入手が絶望的になるのは目に見えてますから、今後は価格も上がっていく一方だと思います。
なので、楽しめる今のうちに楽しんでおきましょう。

メーカーのKEN-RADですが、アメリカの真空管メーカーで1926年頃から独自の製品をリリースし始め、1930年代の真空管メーカー同士の熾烈な存在競争を生き残った、アメリカを代表する真空管メーカーの一つだそうです。
戦後、需要の激減を受けて真空管メーカーも統合が進み、KEN-RADもGE傘下で生き残りを図ることとなります。GE傘下になった後は徐々にGEブランドの生産にシフトしていき、1950年頃には独自ブランドのKEN-RADの看板を下ろし、30年近く続いたブランドに幕が下りました。

しかし…そろそろ真空管も50本を突破しそうな勢いなので、控えないとなのですよね…。

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