NEC N8103-130をMegaRAID SAS 9260-8iに改造してSATA3に対応させる方法

LSI LogicのMegaRAID SAS 9260-8iといえば、一昔前の定番RAIDカードです。
6Gbps SAS/SATAに対応、キャッシュメモリも512MBと大容量で、今でも十分使えるカードだと思います。
しかし…本格的なRAIDカードの例に漏れず、価格が高いのがネックなところ。
ヤフオクでもLSI Logicのカードはかなり高い値段で取引されています。

そこでお勧めなのが、NEC向けのOEM品である、N8103-130を安価に購入し、改造する方法。
N8103-130は中古で5000円~くらいで購入可能です。
※安価な掘り出し物の場合の価格で、よく見かけるのは執筆時点では10000円弱程度の価格帯です。

注意点としては、

  • DOSを使ってファームウェアを書き換える必要がある
  • キャッシュメモリが256MBと半分しかない
  • N8103-129を買ってしまうとRAID5が使えない

という点になります。
N8103-129とN8103-130の見分け方は、カード正面から見て左下に、小さい基板が載っているかどうかです。
基板があれば130、なければ129です。
※RAID5を使用可能にするためのハードウェアキーで、残念ながらFastPathではない

img

 

上の○部分に基板が載っています。

改造してみる

改造方法は割と簡単です。
わかりやすくまとまっているサイトがありますので、こちらを参考にされると良いかと思います。

N8103-130(LSIロジック製 9260-8iのNEC OEM品)のファームウェアを9260-8iへ書き換える(2013/01/13)
http://www.gun-soft.com/raid/n8103-130.html

●書き換え手順

  1. Creating FreeDOS USB boot stick for BIOS flashing(http://goebelmeier.de/bootstick/)より、bootstick.zipをダウンロードし、FAT32でフォーマットしたUSBメモリ上に解凍する。

    解凍したらコマンドプロンプトを起動し、USBメモリのドライブに移動。(Xドライブであれば、コマンドプロンプトでX:を入力してEnterキー。環境に合わせてXを変更)
    続けてコマンドプロンプトで次のように入力。
      
    syslinux\syslinux.exe -fma X: ← X:は環境に合わせてUSBメモリのドライブ名に変更にすること。
    xcopy usb-root\* X:\ /E /H /I ←

  2. 海外掲示板で9260-8i関連のSBRやBIOSをまとめている人がいるので、以下より、sas2108.zipをダウンロード。
     (リンク先の最初の書き込みの「sas2108」というリンクをクリック。
      SAS2108 (LSI 9260) based firmware files
     アーカイブを解凍して上記USBメモリーのルートディレクトリ(/)にコピーする。
      (色々ファイルが入っているが、基本的には書き換え用プログラムMegaRec.exeと、LSI版のSBRとクリア用のブランクSBRのみ使用する。)

  3. LSIロジックから最新ファームウェアをダウンロードして解凍し、romファイルをUSBにコピー。
    (mr2108fw.romというファイル。2013/1/11現在、最新バージョン4.9)

    LSIロジック 9260-8i情報ページより、純正ファームウェアをダウンロードしてくる。
    ページ中の、「サポートとダウンロード」部分をクリックし、出てきた中の「Firmware」をクリック。
    最新バージョンの一番右のdownloadの矢印を押して移動したページで、Acceptを押すとダウンロード開始。

  4. (1)で作成したUSBメモリーから起動する。(boot:という表示が出た後にEnterキーを押下)

  5. SBRをバックアップ

    megarec -readsbr 0 old.sbr

    ※コマンド中の「0」は最初に見つかったカードの通し番号です。
    もし、複数のカードを差している場合は、数字が変わる可能性がある為、間違いを防止するためには書き換えるカード1枚のみ差して作業するのが安全ではないかと思います。

  6. ブランクのSBRをカードに書き込み

    megarec -writesbr 0 sbrempty.bin

  7. 9260-8iのSBRを書き込み

    megarec -writesbr 0 sbr9260.bin

  8. flash領域をクリア

    megarec -cleanflash 0

  9. PCを再起動し、再びUSBメモリからDOSを起動

  10. 9260-8iのファームウェアイメージを書き込み。

    megarec -m0flash 0 mr2108fw.rom

 

なお、私の持っているカードは9260のSBRを書き込もうとしたところエラーが出て完了せず、先に9260のファームウェアを書き込み→再起動→9260のSBRを書き込みで完了しました。
ファームウェア書き込み後、初回起動時はRAIDカードのBIOSを認識するのに2分くらいかかるので放置しましょう。

BIOSを書き換え、SATA3対応に改造したあとに、SAMSUNG SSD 840を繋いでベンチマークを取ってみました。

img

マザーボードのSATAコネクタに比べると遅いですが、SATA2の上限を突破しているのがわかります。

バッテリーを搭載してみる

キャッシュメモリ搭載のRAIDカードで怖いのが、停電によるデータ破損。
メモリ上にデータをキャッシュしているため、電源が落ちるとメモリ上のデータをHDDに書き込むことができず、破損してしまいます。
キャッシュメモリを読み込みだけに使うライトスルーにすれば回避できますが、パフォーマンスが上がらないのが欠点。
そこで、バックアップ用のバッテリーが重要になってきます。

しかし、このバッテリーがまた高い。
しかも消耗品なので買い換えないといけないし…

というわけで、ついでにバッテリーも中古品を買って流用しましょう。
狙い目なのは、N8103-120というバッテリー。
このN8103-120はN8103-116/117/118/116A/117A(MegaRAID SAS 8708EM2のOEMモデル)用のバッテリーですが、実はMegaRAID SAS 8708EM2も9260-8iも、どちらもLSIiBBU06というバッテリーを使用します。
コネクタも同一ですので、ちゃんと搭載可能です。

ただし、古い製品なのでバッテリーがへたっている場合が多いのと、もう一つ大きな問題があります。

N8103-120と、N8103-124という型番のバッテリーバックアップモジュール(両方ともiBBU06のNEC向けOEM品)を使ってみたのですが、フルチャージ時の容量が700mAh弱が規定値なのですが、ファームウェアを改造したことが原因なのか、最大容量が1215mAhと表示されてしまって、ステータスがFailedまたはDegratedになってしまう症状が発生しました。
iBBU06のバッテリー容量は675mAhなので、当然搭載されているバッテリーは1215mAhもの容量を持っていません。
この1215mAhという容量ですが、iBBU07の容量と一致するため、どうやらiBBU07と誤認している可能性があります。

誤認しているのであれば、N8103-120のバッテリーを1200mAhのものにしてしまえばいいのです(爆
バッテリーの電圧は3.7Vと一般的なリチウムイオン電池と同じですから、あとは同容量程度のものを探せばOKです。
お勧めはカシオのNP110というバッテリー。
薄型で容量も1200mAhですから、ピッタリです。
※中華製の互換バッテリーは容量スッカスカで表記は嘘っぱちですから、購入しないように。純正中古の方が全然マシです。

img

薄型で1200mAhと理想的なバッテリー。

改造は、バッテリーを外す→繋ぐだけ。
くれぐれも+と-は間違えないように。
T端子は温度センサーなので、接続しません。

 

img (1)

端子を繋ぐだけでOKです。
写真では外装を剥いてますが、これはやらないほうがいいです。
失敗するとバッテリーが死にます。

 

N8103-130 バッテリー交換

こちらはNP110に交換する前に使っていた、カシオの携帯電話用バッテリー。
600mAhなので大きさ的にピッタリでした。
端子の位置が違うので、リード線を使って配線しています。

 

N8103-130 バッテリー交換

NP110を搭載するには、ケースサイズが小さいので一部を切断しています。
バッテリー容量が倍近くなりますから、そのままではケースに収まらない為です。
厚みがないバッテリーですので、取り付けは問題ありません。

交換が終わったら、relearnを行い充電します。
容量が1200mAh近くになり、Optimalになれば成功です。

batt

 

中古のバッテリーを購入したため少し劣化していましたが、Design Capacity 1215mAhに対し、Full Capacityが1181mAhと十分。
現状少しへたって915mAhですが、まだまだ大丈夫でしょう。
ダメになったら、似たようなバッテリーに載せ替えるだけですので、長く使えると思います。

6 thoughts on “NEC N8103-130をMegaRAID SAS 9260-8iに改造してSATA3に対応させる方法

  1. 本当に助かります。以前から改造方法のN8103-110バッテリの交換探していました。追加にN8103-130を9260-8iに改造を試して見ます。結果はまた連絡を致します。

    • お役に立てたようで良かったです!
      Firmware書き込み後、初回起動はフリーズした?と思うくらい長い時間がかかりますが、気長に待って下さい。

  2. 大変参考になる記事をありがとうございます。
    IBBU007やIBBU008を安価に調達したく,色々調べています(新品を買おうとする43000円くらいします….)
    N8103-120かN8103-124のバッテリー本体を,NP-110に載せ替えればIBBU07として認識される可能性があるわけですね。
    私はLSIのカードに載せたいのですが,RAIDカードとN8103-120/124の接続のコネクタ仕様がはっきりせず,迷っています。バッテリパック裏面の,小さい方のコネクタ(ネジに隣接している方)は,LSIのカードのコネクタと同一か,ご存じでしょうか。

    • コメントありがとうございます。
      N8103-120、N8103-124(IBBU06)ですが、あくまでも仮定ですが
      ・NECの純正ファームウェアでは、IBBU06も利用可能だった
      ・LSIのSAS 9260-8iファームウェアではIBBU07しか使えない(SAS 9260-8i向けのBBUはIBBU07ですし)
      という事だったとすると、IBBU06のバッテリーを取り外し、NP-110等の容量が合致するバッテリーに載せ替えてしまっても、動作する気がします。

      コネクタですが、IBBU06をN8103-130にケーブル利用ではなくオンボードで載せていましたので、コネクタ的にも大丈夫だと思います。

    • コメントをちょいと訂正。
      この頃のNECのRAIDカードはLSIのOEM品なので、大丈夫だと思います。
      カードとBBU、思いっきりLSIの型番書かれてますしね…

  3. 済みません,LSIのカードとは,9261-8iなど,ケーブルを介さずにバッテリユニットを直付けできるタイプを想定しています。

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